読書記録「ハルロック」西餅(1~4)


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アキバ通いが大好きな女子大生が主人公。
ただし目的はアニメショップなどではなく、パーツショップやジャンク屋。

これは、電子工作趣味な女子大生が電子工作で変なものを作ったり、変なものを作ったり、変なものを作ったりするマンガなのです。

主人公・向阪晴は子供のころ、なんでもかんでも分解する分解魔でした。
高校生になったハルはとある先生の影響で電子工作を始め、大学生になるころには両親が心配するレベルにまでなっていました…。
そんな彼女が困っている人のために工作をし、作品によって(失敗もあれど)感謝されることを通じて交友関係や活動を広げていく、というお話です。

作品自体ニッチなテーマを扱っていますが、仕組み的な部分を読み飛ばしても実際内容は面白いので、電子工作の知識がないひとでも面白く読めると思います。
全4巻で完結しており、一気読みがしやすいのも魅力。

…2巻で知り合ったイケメン(真空管オタク)がハルに好意を抱いたように見えたから、幼馴染君(ハルのストーカー)と三角関係が始まるのかと思ったけど、ぜんぜんそんなことはなかったぜ!

読書記録「春風のスネグラチカ」沙村広明


帝政ロシア崩壊直後の時代を舞台にした1巻完結コミックです。

1人では移動できない構造の車いすに乗る少女と、彼女だけが症状を抑えられる奇病に侵されている従者の青年。
生きるために互いを必須とする2人。彼女らの目的はいったい何なのか、その正体とは。

登場人物がロシア人なので聞きなれない名前が多く、バーナード嬢のように「いいかげんにせいよロシア人!」と言いたくなるのでサクッと流し読みできる本ではありません。が、まるでミステリー小説を一本読んだ後のような読後感が味わえます。
一度読み終えて2人の正体を知り、改めて最初から読み直すのもまた楽しい。

ちなみに登場人物には実在の人物も多いため、ロシア史を知っていると楽しみが倍加するかもしれません。私はよく知らないまま読み終えましたが…

読書記録「ロッキン・ホース・バレリーナ」大槻ケンヂ


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18歳で夏でバカだった。

18歳のバカな若者三人によるパンクバンド「野原」とマネージャーの中年男がハイエースで全国ツアー。途中で見つけたラフレシアの正体は厚底ポックリ靴「ロッキン・ホース・バレリーナ」を履いた謎のゴスロリ少女。5人はパンク・ロックと共に全国をめぐる。
ツアーは成功するのか?
少女は何者なのか?
領収書はもらったか?
若者の恋のゆくえは?
大人だってロックは青春だったんだ!


主人公の耕助は女とやることしか考えていないし、マネージャーの得さんは借金に追われて頼りない。ゴスロリ少女の七曲町子はあこがれのV系アーティストに会って抱いてもらうために「野原」の車に乗ってくる。
こんなダメな人間たちだが、話が進むにつれてどんどん魅力的になっていく。

耕助のトラウマ、町子の心の闇、惹かれあっていく2人。夢。
得さんの過去。厳しい現実。
彼らの織りなす青春ロードムービーは、まさにロックのように駆け抜けて。

God Gave Rock’n Roll To You ― 「神様がお前に大切なものを与えてくれたんだ」。

読書記録『戦略拠点32098 楽園』長谷 敏司



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主要登場人物は3人のみ。ボリュームは200ページ未満。第6回スニーカー大賞金賞受賞作品。


汎銀河同盟と人類連合が数百年にわたる戦争を続けている時代。
何の価値も設備もないが、人類連合が「楽園」と呼び必死に守る星があった。
その実態を調査するため、汎銀河同盟の兵士ヴァロワは軍が戦略拠点32098と呼ぶ「楽園」への降下作戦に参加し、唯一生存しての降下に成功。

そこでヴァロワが出会ったのは「楽園」の住人である少女マリアと、人類連合軍制御官ガダルバ。
なんだかんだで3人で暮らすこととなったヴァロワたち。 「楽園」を調査しても人類連合が思うような成果がなく、むしろ今の暮らしに居心地の良さを感じてきたころ、マリアが高熱を出す。
ガダルバがマリアを"治療"するために連れて行った場所でヴァロワが見たものは…


機械兵や宇宙戦争といったSFテーマの作品なれど、内容はセンチメンタル。
一応ライトノベルのようですが、表紙と冒頭の設定画を除くと本編に挿絵がありません。
ないのですが、気にならない。というか、読み終わってから「そういえば挿絵がなかったな」と気付くほど。

なおこの本は現在絶版のようで、kindle版でないと手に入りにくいようです。

読書記録『バーナード嬢曰く。』施川 ユウキ



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にわか読書家の自称「バーナード嬢」こと町田さわ子と、図書室に集う仲間たちが古今東西いろんな本についてグダグダ言う作品です。
なんか最初は名言をテーマにした漫画にしようとしてたが、読書漫画になった…らしい。

町田が中途半端に読んだ本から無理矢理名文句を引用しようとしたり、SF好きの神林は話がめんどくさくて周りが引いたり。そんな感じで本の内容にはあまり触れないことの方が多いのだけれども、紹介された本にちょっと興味が出てくる、そんな漫画です。
興味が出た本は「いつか読むリスト」に入れておこう…と思うと、下のセリフが心をザクッと。

「本は読みたいと思った時に読まなくてはならない
その機会を逃し『いつか読むリスト』に加えられた本は
時間をかけて『読まなくてもいいかもリスト」』に移り
やがて忘れられてしまうのだ」


…グハッ(kindle内の積読を見て)

巻数表記はないが、掲載誌ではまだ連載が続いている(安定の巻末固定掲載)ので 、そのうち2巻が出るだろうなとは思います。
連載は追っているが、単行本に含まれる著者のコラムも面白いので、2巻を楽しみにしています。

読書記録『竜の学校は山の上』九井諒子



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今月のkindleセール対象になっていたこの作品、「ダンジョン飯」で話題の著者による短編集です。

内容は主に「現実」と「ファンタジー」の混在。
それは「現実的なファンタジー」だったり、「ファンタジーな現実」だったり。

魔王を倒した勇者が田舎に帰る「帰郷」
どこかで聞いた話だけどちょっと違う「魔王」
滅んだ魔王の城を使えないか挑戦する「魔王城問題」
高度な生命体が未開の人類のためにお土産を置いて行く「支配」
日本昔話的な「代官山の嫁探し」
猿人と馬人の共存する現代社会を描く「現代神話」
稀に翼の生える人間が存在している社会の「進学天使」
表題作である「竜の学校は山の上」
そしてダメ人間が謎の社会実験に参加する「くず」

星新一作品のようにサクッと読める短編集。
個人的には後半の「現代社会にファンタジー的要素が混ざっていて、違和感なく社会に受け入れられている」というのがとても好み。
「竜の学校は山の上」で架空生物の生態などの設定を練ってあるあたりは、後の「ダンジョン飯」につながるような。。。

読書記録『きっと可愛い女の子だから』柳本光晴



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恋する女の子が主役のオムニバス作品。

Amazonには「普通のラブコメなら脇役にしかならないような女の子達をあえて主役として扱った異色のラブコメ短編集」ってあるけど、みんな割と主役級な気はする。

クラスでラノベを読んで過ごすヒネクレ系少女。
アラサーの女教師。
彼氏の独占欲を静かに燃やす少女。
恋愛経験のない文芸少女。
頭の悪いギャル。

実ったり実らなかったりするけども、とりあえず関口さんには頑張ってほしい。

個人的にはリョータに親近感。