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読書記録「九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子」九井諒子

表題の通り、7つのエピソードが収録されている短編集です。

竜の学校は山の上と同様、ひとつひとつが安定したおもしろさ。(たしかこっちが後発のはず)

・竜の小搭
戦争中の海国と山国だが、国境にある関所の塔の上に竜が巣を作ってしまったためやむなく休戦状態。
商隊も襲われるため塩不足となった山国で、主人公である少女ユルカは野菜を求めて海国から来た兵士サナンと出会う。どうやら1人程度なら竜を刺激しないらしい。
物資の交換を条件に捕虜を逃れ、両国を往復するようになったサナン。彼から聞く海国や竜の子育ての様子に、だんだんと心を開いていくユルカ。
そのうち、両国の休戦を終える「竜の巣立ち」の日が近づいてくる。

・人魚禁猟区
人間に似た見た目だが言葉は通じない「人魚」という動物が存在する世界。
主人公の準は道路沿いに倒れていた人魚を救助するが、そのせいで友人の浜と険悪になる。
後日、同じ人魚を見かけた準は、その人魚がなぜか山の上の学校を目指していることを知り、協力することに。

・わたしのかみさま
中学受験を控えるが成績が上がらない雪枝は、再開発により住処を失くした山の神と出会い、保護することに。

・狼は嘘をつかない
前半は「狼男症候群」という病気の子を持った母親の育児エッセイコミック。
後半は、成長して大学生になったが、病気のせいでまともに大学生活を送れない子の苦悩を描く。 竜の学校~でよく見られた「ファンタジーが融合した現実」のお話。

・金なし白祿
都で一番の絵師である高川百録。
彼の描く生物はすべて片目が描かれていないが、これは両目を描くと生命をもって絵から飛び出してしまうからである。
詐欺にあい一文無しになってしまった彼は、過去に描いた珍しい動物の絵に目を入れて実体化させ、それを捕まえて売ろうと考える。
捕縛担当者として自分の武者絵の贋作に目を入れるが、その贋作がヘタクソだったために武者は半分紙のまま生まれてしまう。

・子がかわいいと竜が鳴く
父王の病を治すために竜の鱗を得ようとするシュン王子と、その道案内をすることになったヨウという女。
この話は特設サイトで全編が読めます。

・犬谷家の人々
一族全員が超能力を使える犬谷家。
双子の姉妹が超能力に目覚めたため、家族でパーティーを開くことにするが、そこに父が大学生探偵の銅田一耕助を連れてくる。
探偵が大家族を訪問し、雰囲気的にあまり歓迎されていないという状況で起きるのはもちろん、殺人事件…?


いい話だったり、いい話だったのになーだったり、相変わらずのおもしろさ。
少々ハードな展開があっても、それでいて後味悪いものは1つもない。
いい本でした。