読書記録「最近読んだ小説」

  

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)

 

自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂される最原最早の監督作品だった。彼女のコンテは二見を魅了し、恐るべきことに二日以上もの間読み続けさせてしまうほどであった。二見はその後、自分が死んだ最原の恋人の代役であることを知るものの、彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が先立ち、次第に撮影へとのめりこんでいく。 しかし、映画が完成したとき、最原は謎の失踪を遂げる。ある医大生から最原の作る映像の秘密を知らされた二見は、彼女の本当の目的を推理し、それに挑もうとするが――。 第16回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞>受賞作。

引用した書籍紹介でだいぶあらすじ書いてあるわこれ……。
ヒロインは主人公があこがれる撮影センス抜群・明るく頭もキレる美女の画素さん。かと思いきや天才監督フシギちゃん最原最早。
基本的に主人公の二見による一人称視点でそんなに長くなく、最原のボケと二見のツッコミでサクサク読めるライトな話。なのだけど、実際最原の作品は不思議なパワーがあってSFだし、最序盤に背景でスッと出てきた「原付事故で学生が亡くなった」掲示が重要な情報だったり(ぶっちゃけあらすじに載ってる「死んだ恋人」がこの学生)、ここでスタッフロールかと思いきや更なる真実が用意してあったり、じつはストーリーが始まった時点ですでに仕込みがあったり。結末で明かされた仕込を念頭に置いて2周目を読むと(じっくり読んでないけど)読み味が変わるわ。

「その映画を見ただけで、人生を過ごしたのと同じだけの感動を与えればいい」

 

工学部の大学院生・舞面真面(まいつらまとも)は、ある年の暮れに叔父の影面(かげとも)からの呼び出しを受け、山中の邸宅に赴く。そこで頼まれたこととは、真面の曽祖父であり、財閥の長だった男・被面(かのも)が残した遺言の解明だった。 ―― 箱を解き 石を解き 面を解け ―― よきものが待っている 従姉妹の水面(みなも)とともに謎に挑んでいく真面だったが、謎の面をつけた少女が現われたことによって調査は思わぬ方向に――? <メディアワークス文庫賞>受賞者、野崎まどが放つ怪作登場!

ライトな読み味のミステリー。理系大学生男子の主人公が文系大学生女子のヒロインとお面をかぶった謎の女子中学生を連れて3人で健康ランドでお泊り会をするお話。[映]アムリタが終わったと思ったらもう1段仕掛けがあったので、今回もそうかなーと思ったらそうだった。とはいえ、1段階目の終わりがアムリタよりも謎を残したままだったので、予想はついたけれども。

お面の女(20代)は作中年月が経過したのかと思ったけど、そうじゃなくて宅配便が運んでたのがお面で、受け取った別の女が着けているのね。

 

死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ (メディアワークス文庫)

死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ (メディアワークス文庫)

 

「この学校に、永遠の命を持った生徒がいるらしいんですよ」 生物教師・伊藤が着任した女子校 「私立藤凰学院」 にはそんな噂があった。話半分に聞いていた伊藤だったが、後日学校にて、不意にある生徒から声をかけられる。自分がその 「死なない生徒」 だと言ってはばからない彼女は、どこか老練な言葉遣いと、学生ではありえない知識をもって伊藤を翻弄するが……二日後、彼女は何者かの手によって殺害されてしまう――。果たして 「不死」 の意味とは? そして犯人の目的は!? 第16回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞>受賞者・野崎まどが放つ、独創的ミステリ!

待って?わかってきたぞ?この作者「主人公の男が浮世離れした女に振り回されて、謎の解決編の後にもうひと押しオチがある」パターン好きだな?思えば「know」もそうだったな……(「野崎まど劇場」シリーズはあれはまぁ全体が狂ってるから別にして)

犯人は予想しやすく、動機もまぁ予想通り。大事なのは「識別組子の不死はどういう仕組みなのか」が主題……で、さいごにもうひと押し。公式紹介文に「ミステリ」って書いてあるけどやっぱりSFじゃあないか!

 

 

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

 

 「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイディアを閃いてしまったのです―― 」。 駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。半信半疑の彼が出向いた喫茶店で出会ったのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという彼女に、物実は「小説の書き方」を指導していくが――。 野崎まど待望の新作ミステリーノベル……改め、意表を突く切り口で描かれる 『ノベル・ミステリー』 登場。

主人公の男が浮世離れした女に振り回されて、オチのあとにもうひと押しだ。今回は1回目のオチが弱かったな。しかしネタばらしのあとに振り返ってみると、「あなたの知らない技術」すごいですね。住所なんかはどうやったんだ…?

 

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫)

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫)

 

周りのみんなより、ちょっとだけ頭がよい小学四年生の理桜。担任の千里子先生からも一目置かれている彼女は、ある日、不登校の少女 「さなか」 の家を訪ねるようにお願いをされる。能天気少女のややや(注: 「ややや」 で名前)や、引っ込み思案の柊子とともに理桜は彼女の家に向かうが、姿を現したさなかは、なんと早々に大学での勉学を身につけ、学校に行く価値を感じていない超・早熟天才少女であった。そんな彼女に理桜は、学校と、そこで作る友達がいかに大切であるかということを説くのだったが……果たしてその結末は!? 野崎まどが放つ異色ミステリ、まさかの小学校編登場!

主人公が男じゃない!けど主人公の女の子が浮世離れした女に振り回されてオチのあとにもうひと押しっていうのは変わらず……えっ主人公どっち?ていうかお前ーッ!過去作ーッ!!

 

 

2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

 

数多一人は超有名劇団 『パンドラ』 の舞台に立つことを夢見てやまない青年。ついに入団試験を乗り越え、パンドラの一員となった彼だったが、その矢先に 『パンドラ』 は、ある人物によって解散を余儀なくされる。彼女は静かに言う。「映画を撮ります」 と。その役者として抜擢された数多は、彼女とたったふたりで映画を創るための日々をスタートすることになるが――。 『全ての創作は、人の心を動かすためにある』 彼女のその言葉が意味するところとは。そして彼女が撮ろうとする映画とは一体……? 全ての謎を秘めたままクラッパーボードの音が鳴る。 

今回の話は劇団が舞台!新人劇団員を襲う実力の差!心が折れる同期を横目にかろうじて残り、ギリギリで正式メンバーとなった主人公。ここから物語が……かと思ったら劇団が崩壊した。犯人は最原最早。えっお前ーッ!

というわけで出るわ出るわの過去作品4作のメインキャラ、スーパー野崎まど対戦だ。タイトルの「2」、これって作中では映画のタイトルとして、意味も作中で公開されたけれども実際過去作の地続きだから「[映]アムリタ2」だし「舞面真面と仮面の女2」だし……。

最初は「このシリーズまとめて映像化しないかなー」とか思ってたけど、テキストベースの小説だからできたネタがガッツリ関わってるから無理くさいですね。画があるとトリックがバレてしまう。