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読書記録「チョコレートの天使」赤井五郎

小説感想

結構前に購入してから積んでいたKDP小説作品です。

タイトルからはほんわかしたラブストーリーみたいなイメージを受けますが、複数のキャラクターに焦点を当てながら進む、ファンタジーかつミステリーの作品でした。

工芸や衣料などに虫素材を多用する世界で、序盤のメインとなるのは元・虫職人の二コラ。かつて虫工房の事故で父を失っている彼は、父と同じ工房で娘を失ってしまったことを切欠に虫職人を辞めてしまいました。それから無為に過ごしていた彼は、ある日酒場で「魔女が死人を生き返らせる」という噂を耳にします。そして彼は情報屋を紹介してもらうため、花売りを屋台を隠れ蓑とした密造酒の売人となります。

しかし物語の転換となるのは、ある宿屋で発生した殺人事件です。事件後からフォーカスが当たり始めるのは謎めいた老婆、そしてその娘ヒルダ、その娘ルブリー…なぜか地の文ではスノウロールと呼んでいて同一人物らしい?が、本人の記憶も地の文の記述もなんだかおかしい。

そのほか、事件を追う刑事サンオンとティティア、彼らは過去に「魔女」に命を救ってもらったという。「魔女」に関する豊富な知識を持ち、また知識を追い求める書師のマグザブ。盲目の探偵少年ツインズ・ワン。歴史上の大呪術師マド・リュード。

多くの登場人物が交差するのは「スノウロール」という女。彼女はいったい何者なのか。

読み進めていくうちに、だんだんと「これはこういうことなのでは」という引っかかりができ、判明する「魔女の秘密」に「本当の魔女」。

最後まで読み、すべてを把握するともう一度最初から読み直したくなる、そんな長編作品でした。

ただちょっと気になるとしたら、「ルブリー」が二コラの家と名前を知っていた理由がわからなかった…顔と仕事を知っていた理由はわかるけれど。

しかし、全ての謎が判明したときの爽快な読後感はとても良いものでした。全体としては長いのですが、細かく章立てしてあるので(ただし章ごとの長さは非常にまちまち)、章単位で読み進めることもできました。

「なんでこのタイトル?」と思いつつ最後まで読んだら「なるほどこのタイトル」となるチョコレートの天使、電子のみとはいえ250円。いい買い物でした。