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読書記録「ニンジャスレイヤー キリング・フィールド・サップーケイ」

小説感想 ニンジャスレイヤー

ニンジャスレイヤー第3部「不滅のニンジャソウル」の3巻。第1部から通すと15巻にあたります。

この巻に収録されているエピソードは6作。そして表題作「キリング・フィールド・サップーケイ」を筆頭として、サツバツとして無常な、完全なハッピーエンドと言いにくいエピソード群でした。


”ミューズ・イン・アウト”
ネオサイタマ版の「鶴の恩返し」は、ダークで、物悲しく、そして創作系読者にダメージを与える問題の名台詞が印象的なエピソードでした。

”ワン・ボーイ・ワン・ガール”
イグナイト(ブレイズ)カワイイヤッター!
この巻の中では最も明るく、光が見えるエピソード。
これまで短時間しか覚醒しなかったイグナイトが意識を取り戻して”ブレイズ”として覚醒し、ライブハウスでワオワオするエピソード。
これでエーリアス/ブレイズは両方はっきりとした意識を持って肉体を共有することになるわけですね。

”ザ・ブラック・ハイク・マーダー”
ニンジャスレイヤーは探偵小説だった?
舞台はキョート。探偵、ガンドーの情報を求める謎の女に、彼が最近解決した事件を語る老店主の視点で始まるエピソード。
事件の全容がわかってから事件描写を再確認すると、犯人のメッセージが読み取れるので2度おいしい。
うっかり最初に巻末の登場人物名鑑を読んでしまうと、真犯人のネタバレを引くので気を付けましょう。

”キリング・フィールド・サップーケイ”
口絵のゼンを感じる墨絵も印象に残る表題作。
出オチ感あふれるタイトルと、徹底的に金的を狙う殺し屋デソレイション、そして金的破壊された際の男ならわかりすぎる描写という若干コミカルな面もある序盤から、圧倒的な殺伐感と無常感へとつながる名エピソード。
サップーケイ空間で繰り広げられる無色無音の戦闘描写は秀逸で、ぜひ映像で見てみたいものです。
それにしても、『戦闘中の相手が敵組織と無関係だった上に敵組織の兵隊が一般人を殺害し始めた』ときに、一時休戦や共同戦線ではなく「早くコイツを殺して次に行かねば」という判断をする主人公は本当にブレません。

”ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード”
ヘイヘイ!ヘイヘイ!ネオサイタマのハイウェイをバイクで激走する、スピードに命を懸けるやつらの物語。
そしてこのエピソードでみんな大好きサークル・シマナガシが本格登場。
ハイウェイの亡霊、クロームドルフィンを捕まえるためにニンジャがバイクで大爆走。
ニンジャじゃないけど暴走行為を加速させるカケル。
スピード感あふれる戦闘、そしてスピードの向こう側へ行ってしまったものたち。
バイクと一緒に二転三転する展開。長いのにスピード感あふれる展開が魅力のエピソードでした。

”トゥー・レイト・フォー・インガオホー”
先月の稼ぎはゼロ、借金まみれで妻は浮気。うだつの上がらない賞金稼ぎニンジャ、スカラムーシュを主人公とした短編。
スカラムーシュの小市民っぷりや、洗練されていない泥臭い戦闘を楽しんでいたうちに急に転がり始める展開、そしてサツバツ。
実際彼はニンジャであるが、強者に対する怒りはモータルのそれと同じであった。
目的を果たしたものの、結局もとには戻れない無常、スカラムーシュの結末は、かつてのニンジャスレイヤーと重なるのではないか。

いやあ、おなかいっぱい、ニンジャアトモスフィアを十分に摂取できました。
そして次の巻は…マグロ!マグロ・サンダーボルト!
アイエエエ…殺伐満載の巻の次がケオスの狂騒曲だなんて…