読書記録「やさしいからだ」安永知澄

全3巻で完結済み。
年齢も性別も様々な人々を主人公とする、オムニバスストーリーです。

ちょっと不思議な話から、現実的な話まで。
不思議な話も、これは多感な主人公の空想・妄想なのかもしれない(最終話を除く)程度の不思議。

笑顔の代わりにできものができる少女に始まり、「嫌な臭い」を感じる少女や、少女時代に嫌な記憶を持つおばさん、かつてのクラスメイトの日記を見つけるおじさん、子供のころから「自分を呼ぶ声」が聞こえる女性など。
各話の主人公は、1つ前の話で脇役で登場する人物(気付いてないだけかもしれないけれど、そうでない場合もある)なので、あのひとがこんな…という感覚に陥ることもあります。
ただし内容も多くは語られないため、キャラクターの所作や背景に注意しないと、何が言いたいのか全然わからない話も多いです。
正直、ネットで検索してやっと「そういうことか」とわかった話もあり…。

「やさしいからだ」の主人公はほぼみんな救われます。
それは本人や周囲の人がやさしいからだと思います。
ただし読者にはあまりやさしくなかった…。
キャラクターの背景などを推測して読むと面白いのですけどね。
SF小説を読んでいる気分になります。